『すかいらーく 四方山話 1』
入社して2年くらいたったとき、大阪の佃という店にいた。
そこは、いわくつきの店で、幽霊が良く出るという店で、
戦争のとき、空襲で防空壕で爆弾が直撃し、数多くの人がなくなった、
という、場所にあった。
幽霊などがすむ店ははやるといわれる、
幽霊もしくは、おかしいひとが来る店もよぶらしい・・、よぶのだ

今回は、幽霊の話でなく、
ある深夜に、女のかたがこられ・・。
「すいませんが、ポタージュスープをすこしわけてもらえませんか?」
と、聞いてきたのだ、
マニュアルでは、そういうことはお断りしなさい、個人の判断で
勝手なことはしてはいけない、そういわれていた。

「すいません。こちらの商品はテークアウトできません、からあげか、ポテトか
ケーキか..
このマークのついたものなら、できますが・・」

そういうと残念そうな顔をされて、
帰ろうとした、
ぼくは、呼び止めて、お客さんにわけをきいた。

「子供と家族でこの店に来たんです、そのときこの、ポタージュスープが
おいしかったと、何度もいうのです」
「そうですか、ありがとうございます、また、おいでください」

「それがですね、入院してるんです、何ヶ月も・・」
ぼくは言葉を失った。
「家族でいった、あの店のスープが飲みたい、というんです」

ぼくは、ぐっときてしまった、
家族づれのお客さんが山のようにこられ、そういうお客さんの顔など
ぜんぜん覚えていないし、
僕はマニュアル違反し、皿ごとお客さんに渡した。
「皿はまた持ってきてください、内緒ですよ」

それからしばらくして、
子供さんはどうなったのか、気になっていたが、
家族で食べにきてくれ、そっと、お皿を返してくれた。
退院した子供は元気になり、おこさまらんちとスープを飲んでいた。
あの光景をみたとき、うれしかったのを覚えている、
あのときの子供は、40歳ぐらいだろうか、
きっと、覚えてくれてれるだろうか、

子供を持つ親になってるだろうか、

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