93.夢野 09

当時、低価格で売りにしたガストは客層が倍増し、売り上げが伸びた。
もう、ファミレスではなくなり、主たるターゲットは変わりつつあった。
低価格なので、高校生やヤンキーが来だした、。
特に深夜の客層は相当どの店も悪化した。
ドリンクバーの備品や商品を盗む、売店商品を盗む。
食い逃げをする。大声でさけび、暴れる。
もともと、夢野は893や暴走族などに惑わされる店。
893が店で暴れるのもなんどもあった。

県警の刑事が本部経由で呼び出しにかかり
強盗事件の犯人が、事件を起こしたあとで、ここで食事したらしいので
証言をしてほしいので、写真を見て欲しいとのこと、

兵庫署にゆくと、強面の刑事が出てきて、わざわざ外にゆき
車の中で写真を見せられた。
すべてのお客さんの顔など、憶えてるわけも無いので
わからないと答えた。しかし、その顔はどう見ても悪人の怖い顔だった。
刑事さんも顔つきが悪かった。

あるとき、社員が、お客さんからのクレームで
「横に座ってるやつがシンナーを吸ってる」
とのこと、
当時、大阪でシンナー中毒のやつが、殺人事件を犯したときであった。
もちろん、シンナーの匂いを嗅ぎながら食事なんてできない。
2人組のヤンキーであった。
ヤンキーであったが、すこし年を取っていた。
コーヒー缶を握りしめ、どうみても薬物中毒の男と
もうひとり背の高い男性であった。
社員は一応、注意をして、空き缶を取り上げようとした。
しかし、彼らは怒り出した。
横にいたお客さんは勝手に携帯で110通報。
そそくさと、2人は席を離れ、逃げ出した、
出口で、社員は
「その缶はシンナーですよね、危ないです」
中毒の男は、舌が回らないのに
「違う、いうてるやろ!」
と、反発した。
客席に危険物を持ち込まないでください。とか
常識の範囲を超えたことはなかったので、まさか
客席でやってるのとは・・。

ぼくは、シンナーなんか吸ってると廃人になる、もうなってるが
友人なら止めるのが当たり前だろう。と、注意した。
「シンナーちがう、いうてるやろ!」
ぼくは、呆れてた。
もうひとりのおとこが言い出しだ。
「俺らはな、前にいた店長いたやろ、あいつ、腹立つから
暴れてやったんや、お陰で、あいつ、飛ばされたやろ!」
と、言い出した。
「いや、前の店長は栄転で成績がよくて、新しいできる店にいったよ!
ヤンキーを退治した、と、言っていたよ」
話がまったく、各自の都合のいいように変わっていた。

社員は、あれはシンナーに違いないですよ。
とか、はなしてるうちに、警察が来た。
もう、逃げました。
と、いうと、
「あ、そうですか、どんなやつでしたか?」
と、聞いてきた。でも、探しはしなかった。
寺坂店長の時代もヤンキーで相当苦労したようで、
まあ、敵対行動で、追い出しにかかったことで火が付いて
相当、ひどいことになり、
警察官の毎晩の巡回が実施され、
キッチンの中まで警察官は来て
「きょうはなにもないですか?」
と、パトロールするまでになっていた。

それが、あの阪神大震災である、
ヤンキーたちも心入れ替えたのか、と思うほど
居なくなった。

そして、閉店半年、再オープン。
ヤンキーたちが、再び来だしたのが、秋頃から。

そのシンナー中毒のグループもメンバーはある程度、ヤンキーを卒業。
そして、次世代が虫のようにわいてくるのである。

次世代ヤンキーはたちが悪く、高校生だった。
なんでもかんでも喧嘩をふっかけ、フロアーでテーブルを見てるだけで
かみついてきた。
自分たちは店でも家でも学校でも嫌われて、どこにも居場所がなく、
親とともに飯を食いに来たのもみたが
親も、相当な・・であった。

しかし、夜間高校にかよう、違うヤンキーが現れた。
このヤンキーは男前で、女の子を何人も連れて、気のいいやつだった。
ぼくとも仲良くなり
「おう、また来てるな!」「店長!」
というなかまでになった。まあ、ぼくがどれだけフロアーで
走りまわってきたかもわかるが、
その気のいいヤンキーが、高校生のその前述のヤンキーを
ぼこぼこに店の前で殴り、大変な事件がおきた。

店の前で、喧嘩してる。
という話で、見に行くと、血だらけで、高校生のヤンキーは倒れており、
友人に抱きかかがら逃げていった。
気のいいヤンキーは、平気な顔をして、店に入りポテトを食いだした。
ぼくは、何事もなかったように、

暴走族がなんども駐車場に集結することがあった。
即座に裏のアパートの人が警察に電話する。
警察は、バイクできて、
「おい、おまえら、うるさいから解散せえ!」
と、怒鳴るが、警察を馬鹿にしてバイクを乗り回す。
他のお客さんからもクレームが来る。

そこで、先ほどの気のいいヤンキーに、解散するように
言ってくれ、と、僕が頼むと、
笑いながら、わかった。

と、いい、裏に回り、笑いながら、
メンバーを見て、名前を呼んで
「おい、店に迷惑やから、出て行け」
と、いうと、すぐに出て行った。

893なら、ここで金品を要求されるのだが、
彼らはまったく、要求もしない。
店長、店長と、ぼくを呼ぶのだ。

しかし、彼らが居ないときはその効果はない。
特に日曜はこない、日曜は別のグループが来た。
7人組ヤンキーだ。
こいつらは、最初は気が良くて、安心していたが・・。

ヤンキーの話はまだまだ続く。

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