卒業証書 有山楓ちゃんに 

2010
3月19日21時8分配信 毎日新聞



04年11月に誘拐、殺害された奈良市立富雄北小1年、有山楓(かえで)ちゃん(当時7歳)の同級生が19日、同小を卒業した。父茂樹さんと母江利さんが卒業式に出席し、楓ちゃんの卒業証書を受け取った。

 終了後に市役所で記者会見した岡田修校長は、証書の文面を「この学びやで多くの友と一緒に学び遊んだことを証します」と読み替えて茂樹さんに渡したと説明。茂樹さんは涙を浮かべ、江利さんは遺影を抱いて見守っていたという。

 同校は、校長室に事件後置いていた楓ちゃんの机と椅子を両親に寄贈。毎年命日などに行っていた「命の授業」は今後も継続するという。【泉谷由梨子、上野宏人】

◇両親が手記

 楓ちゃんの両親は奈良県警を通じて報道各社に手記を寄せた。全文は次の通り。

 楓も小学校を卒業するときがきました。たくさんの友達と同じように卒業証書をいただけることは、とても嬉(うれ)しく思います。その気持ちのかたわら、私たちの心の中には1年生の楓の姿しかなく、楓が小学校を卒業することが現実のこととは思えない気持ちもあります。親として楓を目の前に、「卒業おめでとう」と言ってあげたかったです。

 先月、11月に6年生へ送ったメッセージの返事をいただきました。あらためて楓が今もみんなの心の中にいて、そして共に小学校生活を送ってきたことが伝わってきました。楓は小学校を卒業しますが、きっとこれからも見守っていってくれると思います。

 学校や地域の方々をはじめ多くの方々が、楓が被害にあった事件を忘れず、風化させない活動を継続して下さっていることは、私たちにとって心強いことであります。子どもが被害に遭わない、子どもたちの笑顔があふれる社会になることを心より願います。

有山 茂樹

   江利