ドリアの戦いである。

ぼくは大学のとき、はやばやと、就職活動に見切りをつけて
内定をもらい、すかいらーくに入社することにした。回りは反対し
親も反対したのだが、反対されればされるほど、ぼくは行きたくなり、
内定をもらい、プレ入社でバイトに京都の店にゆくことにした、
バイトと社員の関係や、バイトとはどういうものか、と思ったのである。
11月後半から3月31日まで京都西京極の店でバイトをしながら
大学にゆき、卒論や卒業試験などしながらがんばった。留年のほうがあぶなかったにも
かかわらず。
その店はひまな店だった。ひまであるが、日曜などは満席になり、ラッシュが来る
しかし、営業力が弱い、すぐにつぶれるのである、
しかし、ぼくは右も左もわからないまま、バイトとして高校生にあごで
使われながら耐えていた、
コックなんてなるつもりなんて、さらさらないのだけれど
コックの修行がはじまったのである、
キッチンはエリアにわかれ、ステーキハンバーグエリア
ピザフライレンジエリアとかわかれる、
ぼくはステハンからPFLに移行し、中山店長がでっしゅアップしながら
オーダーを呼んでいた。
しかし、その日は崩れていた、オーダー処理が遅れ、パンク気味。
要領の悪いぼくは、マニュアルを守ろうと必死だった。
「ドリアライス、まだですあか?」
ステハンエリアの高校生のバイトがぼくに言うわけである。
えびドリアという商品があって、中身はバターライス半分がはいり
うえにベシャメルソースとオニオンマッシュソテーとムキえび3つはいった
もので、そのごはんをステハンの高校生にもっていかないと、
彼はソテーパンで溶いたベシャメルソースをそれにかけてオーブンで
焼かないといけないのだが、先に進めないのである。
ぼくは、ピザとかフライオーダーとか、集中し、こなしきれず
パンク気味であった。
高校生は湯せんにひそかにベシャメルパックを加熱し
簡単にかましていた。
ぼくは、まじめにキャセロールにマーガリンを塗り
バターライス半分をいれいぇラップを巻き、レンジ加熱していた。
しかし、
「とりにこいよ!」とぼくがいった、そのことで高校生は頭に来たらしく
高校生は実は相当なやんキーだった。

ぼくのけつをけり、
「はやくもってこいよ!」
と、怒鳴った。

ぼくは、怒り心頭し、
「なにするんじゃ!」
と喧嘩になったのだ・・。

「なんや、やるんか!」
と、言うひまもなく、
フロアーから「料理請求です!」
あとから、中山店長に懇々と怒られ、バイトのやつにはけつをけられるは
情けないやら悔しいやら、なんでこんな思いをせなあかんのだろう、
なんのための大学4年だったのか・・。と、へこみながら下宿に帰ったおもいで
がある、

それから数年後だ、かなりあとだ、正社員になり、
バイトとの戦いに明け暮れながら研修を終え、
抜擢人事で新店舗の二番社員として、広島の店に投げ飛ばされた。
みんなが、あいつは無理だ!できるはずがない、と陰口をたたかれながらも
評判どうり、ぼろぼろな店であった。
バイトが定着しないのであった、厳しすぎるのか、しんどすぎるのか
教えてはやめ、教えてはやめ、の繰り返し、
キッチンは社員三人か四人で料理をだしていた、
しかも、店長とぼくの仲は相当悪かった。
あるとき、キッチンの中に隣の店のバイトが来るようになった
店長がバイトが定着しないのでよそからひっぱってきたのだ、
しかも、相談もなしに、
ぼくは、今までの苦労はなんであったのか、そう思うようになった、
また、このバイトもいやなやつだったのだ。

一応キッチンのリーダーでぼくはあったので、
ぼくの指示で動かすのだが、怠慢なのであった。
忙しいGWのキッチン、相変わらずパンクしていた。

そのときである、あのフレーズが再び、

「おおい!はやく、ドリアのライスもってこい!」
あのいやなバイトが、ぼくが丁寧に教えて育てた生粋のしんてんメンバー
にえらそうに、いうのである。

ぶちっ!とぼくは切れた、相当切れた、そんなに切れなくてもいいのに
切れた。
「誰に向かっていってるのだ!もってこいとはどういうことだ!
もうかえれ!!」

キッチンは一瞬静まり返り、そいつは、とぼとぼと出て行った。

数日たち、ぼくと仲のよくない店長は喫茶店にいた、
呼び出されてのである。
「どうかしたの?なんぁぁか。あったの?」
そてとなにし、店長はぼくにきくのだが、
京都時代にやんキーのバイトにけつをけられたことが無意識に
反応しまして、なんていわず・・・。

ぐだぐだと、「なにもないです・・」
と、話を煙に巻いた、
「なんで、あいつを呼んだんですか?」
そのことをテーマに自分の店はああいうやつはいらない。
礼儀もできない、仕事舐めた、横柄なやつは許せない。
と、言ったのを覚えている、

広島の店はなかなか安定せず、ぼろぼろからすこしましになり、
それでも、すべてはぼくの能力不足ということで、その店長は昇進し
再び、四国の新しい店に行かされることとなった。

異動前日に新しい店長といると、ぼくのドリア事件で辞めた
あのバイトが再び、バイトしたい、と来たのであった。
ぼくは、京都のけつけられ事件を除いても
「あいつはやめといたほうがいい・・」
といったのでした。

ドリアの戦い特別編
2012年10月13日